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Saturday, August 5

今夏はポーランドを旅する。何年か前に「行ってみないか?」と『POPEYE』(マガジンハウス)が喧伝していたポートランドではない。ポーランドだ。ドイツの右隣の国。出発前までに旅行先にかんする周密な下調べを済ませ、『ブルーノ・シュルツ全集』全二巻(新潮社)に目をとおしたので準備は万端である。しかし訳者の工藤幸雄の解説によれば、ポーランドのユダヤ系作家シュルツの生まれ故郷であるドロホビチという町は、現在のウクライナ領だという。あわよくばシュルツゆかりの地を、という目論見はあっさり崩れる。

午前10時半に成田空港を出発して、ワルシャワ・ショパン空港に到着したのは午後2時半。空港から鉄道で中央駅まで向かって、駅前のホテルにチェックイン。ポロニア・パレス・ホテルに泊まる。日の入りまで時間があり天気もよかったので、スターリンが建設を指示した有難迷惑な贈りものとして知られる文化科学宮殿を訪れる。展望台からの光景は、ポーランドが平坦な地形の広がる土地であることがよくわかる。

ホテルに戻る帰りに、中央駅の観光案内所で電車・トラム・バスの路線図をもらおうとしたら、そんなものはないと言われる。ワルシャワ市交通局(ZTM)のホームページを見ればわかる情報だが、異国にやってきた旅行者としては紙媒体で欲しい。そもそも観光案内所に置いてある情報量にやる気が感じられず、ワルシャワは観光で盛りあげていこうという気概はあまりないのかもしれない。