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Friday, May 26

金沢へ。はじめての北陸新幹線。東京から金沢までおよそ2時間半の道のり。4月に京都へ向かった東海道新幹線は品川駅発だったが、品川駅の殺風景さにくらべて東京駅発のほうが旅情を感じられて、雰囲気がでる。東京駅の弁当屋でサンドイッチと珈琲を買う。食事をして車内販売で買ったコーヒーを飲んで新聞を読んでいるうちに、金沢到着。9時51分着。金沢駅からバスで近江町市場へ。市場近くのホテルに荷物を預けてから東出珈琲店へ。本日三杯目のコーヒー。近江町市場をうろうろして、昼食は「もりもり寿し近江町店」で寿司を食べる。食後、ふたたびバスに乗って、金沢21世紀美術館へ。企画展はパスして常設だけを見ようと思っていたのだが、レアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」を中から見るには企画展に入場しなければならず、やむなく企画展も見ることに。ところが企画展である「池田学展 The Pen 凝縮の宇宙」が予想を超えて素晴らしかった。池田学の作品は、これまでグループ展のなかで単品としては何度も目にしてきたもののさほど惹かれず今日に至る。しかし作品をまとめて見ると、その周密な画業からリズムを感じる。個展は大事だ。企画展を見たら、今度は常設展へ。ほうぼうのメディアでお馴染みの21世紀美術館の常設展示をひととおり見てまわってから、徒歩で鈴木大拙館へ。鈴木大拙についての関心というより、谷口吉生設計の建築を見に来た。モダンで洗練されて、しかしながら嫌味のない谷口建築を堪能する。外は曇り空。吉田健一の小説『金沢』の舞台である犀川沿いを散策し、西に向かってにし茶屋街にたどり着く。甘納豆かわむらで羊羹を買ってから、ふたたび犀川をわたって、新竪町商店街あたりを歩く。少し時間が余ったので一度大通り沿いに戻って、ユニクロでパーカーを買う。寒かったのだ。5月だからと春の装いで来たら、肌寒い。雨もぱらつく。ふたたび川沿いで室生犀星文学碑を探してから、夕食は「Bistro YUIGA」にて。フレンチのコース。満腹で苦しくなりつつタクシーに乗ってホテルへ。金沢での宿泊は、伊藤まさこの『あした、金沢へ行く』(宝島社)に載っているホテルパシフィック金沢にしたのだが、部屋に入ると机に『あした、金沢へ行く』が置いてある。聖書扱いの伊藤まさこの本。

Saturday, May 27

朝、バスで金沢駅へ。JR北陸本線の特急で加賀温泉に向かう。駅でタクシーを拾った瞬間に土砂降り。「中谷宇吉郎 雪の科学館」へ。中谷宇吉郎の業績紹介と、科学の実験ができる。雨は止み、晴れ間が見える。科学館からのぞむ柴山潟の眺めがよい。昼食は金沢の近江町市場に戻って「魚旨」で海鮮丼を食べる。金沢には食べるもんがあんまりないね、魚介類くらいだけどほとんど石川県で獲れたものじゃないしね、という帰りのタクシー運転手の話を踏まえつつ。でも美味しい。バスで移動。兼六園から金沢城公園という金沢二大観光地をめぐる。その途中で立ち寄った西田家庭園・玉泉園が観光地の喧騒から逃れられる庭園で、とてもよかった。尾山神社やしいのき緑地をめぐって、時刻は17時半。早めの夕食は居酒屋「味楽 ゆめり」にて。食事を終えて外に出てもまだ明るい。夜のひがし茶屋街に向かう。京都みたいな雰囲気を想像して観光客でごった返しているのかと思ったら、道を歩く人はまばら。時期的な問題もあるのかもしれないが、観光客や修学旅行生はいるものの、金沢において人でぎゅうぎゅうという場所はほとんどなかった。もっとも、東京や京都の人の多さのほうがおかしいのだが。クラフトビールの店「Oriental Brewing」に立ち寄ってからホテルに戻る。この店で、われわれ以外、お客は全員西洋人だった。

Sunday, May 28

朝食のために「ひらみぱん」に向かうも、まさかの大行列で入店できず。やむなく鞍月用水、金沢聖霊病院聖堂、大野床用水、長町武家屋敷跡をめぐってふたたび「ひらみぱん」へ。ようやく朝食にありつく。食後、武家屋敷跡野村家を訪問。オヨヨ書林にも立ち寄る。中六商店(味噌・麹)、STOCK(保存食)、しら井(昆布・海産物)と土産モードの店舗をまわり、昨日の夜来たひがし茶屋街へ。昼間のほうが観光地っぽくて混んでいる。昼食は「十月亭」で。浅野川沿いを歩いて主計町茶屋街へ。ホテルに戻って荷物をピックアップするも、中途半端に時間が余ってなぜかスタバに。ストロベリークリームフラペチーノを飲む。「もりもり寿し金沢駅前店」で早めの夕食を済ませて、金沢駅構内の土産物売場「あんと」に向かったら、金沢で一番混んでいる場所はここだ! と叫びたくなるほどの激混み。