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Tuesday, January 10

夕食に醤油ラーメンを食べながら、駒込の街に古本屋ができたらしいと話をする。場所は東洋文庫ミュージアムの並びで、店名は「青いカバ」というらしい。駒込はいい珈琲店、花屋、カフェ&デリがあって、ギャラリー(駒込倉庫)もできて、あとはいい古本屋があれば完成するね、などと話していたので、あの街を離れてから知るこの報せに複雑な気持ち。まあでも東京は狭いし、また遊びに行けばいいのだから、六義園散歩の折にでも寄ってみましょう。

Wednesday, January 11

朝食、クロワッサン、グリーンリーフと紫玉ねぎのサラダ、ゆで卵、ヨーグルト、珈琲。支度をして出かける。

渋谷。シアターイメージフォーラムで「ユーリー・ノルシュテイン監督特集 アニメーションの神様、その美しき世界」 [1] を観る。『25日・最初の日』(1968年)『ケルジェネツの戦い』(1971年)『キツネとウサギ』(1973年)『アオサギとツル』(1974年)『霧の中のハリネズミ』(1975年)『話の話』(1979年)の6本。「ノルシュテイン監督のソ連時代の6本の短編作品について、映画チャンネル イマジカBS・映画の20周年記念企画として、オリジナルネガから2Kスキャニングされたデータをロシアから取り寄せ、レストレーション(修復)、グレーディング(色調整)をおこない、2K修復版を制作いたしました」とオフィシャルサイトにあるように、たとえば『25日・最初の日』の旗の赤、『ケルジェネツの戦い』での鮮やかなイコン画、『アオサギとツル』の花火、『霧の中のハリネズミ』の霧、星空、川面の光、白馬、「スパシーバ」のつぶやき、ランプに群がる蛾の音、すべて圧巻で、画面の明るさや発色や音がこれまでより格段によくなっているのはたしかだった。でもたとえ2K修復していなくてもあの世界の素晴らしさは変わらない気がする。あのハリネズミはわたしだ、と思わせるあのリアリティ。初めて観てからもう18年も経つのに、何度観ても打ちのめされる。そういえば『ぽかん』別冊のプロフィールに、上映されるたびに観に行く映画として、鏡、旅芸人の記録、日曜日が待ち遠しい!、はなればなれに、モスクワを歩く、有りがたうさん、東京上空いらっしゃいませ、と書いたけれど、霧の中のハリネズミも入れるべきだったな、と思った。

Bunkamura ザ・ミュージアムで「マリメッコ展 – デザイン、ファブリック、ライフスタイル」 [2] を観る。創業者のアルミ・ラティアが、マリメッコのロゴを決める際に、デザイナーたちが提案したいくつもの装飾的なロゴをすべて却下して、オリヴェッティのタイプライターのノーマルな書体でロゴをつくらせたというエピソードがとても好き。マリメッコの魅力はあのロゴに依るところも大きいと思うから。眺めているだけで楽しくなる図録を購入。

夕食は美登利寿司で。いつもは笑ってしまうほどの長蛇の列だけど、平日のこの時間だとわりとさくっと入れることが判明。

Saturday, January 14

昼過ぎ、恵比寿へ。東京都写真美術館内のNADiffで尾仲浩二が編集する『街道マガジン』vol.4を買い、POSTで展示替えされた「エレナ・トゥタッチコワ写真展 In Summer: Apples, Fossils and the Book」 [3] を観る。

代官山まで歩いて、洋服、雑貨、本と雑誌を見て遊ぶ。しかし代官山は、代官山アドレスが2000年に、ラ・フェンテ代官山が2001年にオープンして、それぞれのビルにけっこうな数のアパレルショップが出店していたと記憶しており、実際、オープン当初はわたしも頻繁に遊びに行ったものだけれど、純粋なアパレルショップがかなり減ってしまった印象で、ひたすら洋服を見たいわたしのような人にとっては前ほど魅力的には感じられなくなってしまった。かわりに増えたのは飲食店や子ども向けのお店で、まあ、伊勢丹も次々に店を閉めているというし、飲食店などが増えるのも需要に見合った結果なのだろうか。

夜はIVY PLACEにて。パルマ産プロシュート、シュリンプのタイ風サラダ、生ウニと青紫蘇のリングイネ、ラムチョップのグリル、赤ワイン。この極寒のなか、さすがにテラス席には誰もいないだろうと思いきや、若い男性が5人ほどビールを飲んで盛り上がっていた。

  1. ユーリー・ノルシュテイン監督特集 アニメーションの神様、その美しき世界 []
  2. マリメッコ展 – デザイン、ファブリック、ライフスタイル []
  3. エレナ・トゥタッチコワ写真展 In Summer: Apples, Fossils and the Book []