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Saturday, December 3

一日街歩き。まずは等々力のPÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGIにて、洋梨のパフェとダージリンティー。パフェは甘過ぎず美味しかった。ラベンダー色の綺麗な店内、イマドキのお店だ。等々力渓谷を抜けて、紅葉真っ盛りの等々力不動尊へ。久しぶりに視界が赤一色、という光景を見た。お茶屋でわらび餅をいただく。九品仏に移動し、紅葉狩りの人々でにぎわう浄真寺へ。浄真寺は子どもの頃に一度訪れたことがあっただろうか、大人になってからは初めてだ。こんなに大きくてこんなに多くの人が訪れるとは知らなかった。ところで本堂にゆるキャラがいて仰天した。九品仏のゆるキャラ「九品(きゅっぽん)」。可愛い〜。語尾に「ぽん」を付けてしゃべるらしく、隣に貼られた紙の「ぼく、九品(きゅうぽん)!!  大歓進よろしくぽん 詳しくは趣意書を見てぽん 合掌ぽん」のフレーズに悶絶。これ、反対する関係者はいなかったのだろうか。参拝者は喜んで眺めて写真を撮っていた。もちろんわたしも。その後、D&DEPARTMENT TOKYOをのぞいてからまた駅前まで戻り、駅前商店街の肉屋でコロッケを買い食い。てくてく歩いて自由が丘まで出て、ポテトサラダ専門店のPotato Creamへ行ってみた。ゆるいクリーミーなマッシュポテトにいろんなソースをかけたもの。わたしはきのこのクリームソースを選んだ。TODAY’S SPECIALと私の部屋で買い物。JIYUGAOKA BAKESHOPでビール飲んでひとやすみ。夜、田園調布のMetzgerei SASAKIを初訪問。前菜セット、ソーセージ、プレッツェル、クレソンのサラダ、ドイツビールをいただく。

Sunday, December 4

粟生田弓『写真をアートにした男 石原悦郎とツァイト・フォト・サロン』(小学館)読了。あぁ面白かった、素晴らしかった。写真は複製技術の一つにすぎずオリジナルプリントの価値など見出され得なかった時代にどのように写真をアートに変えていったのか、アートに変えたその先にどのような逡巡や葛藤があったのか、興味深いところに的確に手が届いた充実の記録。我々が好んで作品を観てきた多くの写真家たちの原点には必ずこの人がいて、知らず知らずのうちに恩恵を受けていたのだな。ブレッソンやブラッサイとの親密なエピソードや北井一夫、荒木経惟、森山大道らとの出会い、つくば写真美術館創設の顛末、若手写真家たちの発掘秘話。とにかくこの人の人生を追うと現代の日本写真家の主な流れをすべて把握できてしまうのが凄い。ところでいきなりぽっと現れた若い東洋人にブレッソンやブラッサイやケルテスがあれほど親密に接したのか不思議で、それはもちろん石原悦郎のえもいわれぬ魅力なんだろうけど、その魅力が何たるものかは具体的にはよくわからないまま。でも、わからないままであるのがよい。わかってしまったらつまらない。

わたしがツァイト・フォト・サロンを初めて訪れたのは2006年の尾仲浩二の写真展だった。それ以来わたしがいちばん好きな写真家は尾仲浩二になった。その時、ツァイト・フォト・サロンで写真を観ていた時の自分の心の高揚をよく覚えているし、よく思い出す。そんなこともあってわたしにとっては特別なギャラリーだった。