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Sunday, July 31

28日に関東地方の梅雨が明けた。

生活していて、ふとした瞬間に、これまで住んでいた駒込の家を、街並みを、図書館を、いくつかのお店を思い出す。本当に突然の引っ越しで、とりわけ足しげく通っていた花屋とカフェには、直前にそのことを告げざるを得なかった。花屋では毎週のようにバラを買っていた時期があり、いつだったかある店員さんが、「店長から、“必ずバラを仕入れてね、毎週、週末にバラを買いに来る奥さんがいるから”と言われていたんですよ」と話してくれたことを思い出して、胸のなかで涙する。新しい家がとても住み心地のよいところでも、やはり、ふっと無性に寂しくなる。一人暮らしをしていた街のことはそんなふうに思わない。もっと軽い。それほど心を動かさずに、軽々と、いろいろなことを思い出せる。駒込の家とは違う。

新しい家は、念願の南東向きで、壁一面に大きく窓がとられ、とにかく明るく、日が暮れるまで灯りをつける必要がない。目が疲れるからなるべく人工の灯りをつけたくないわたしにとっては本当に嬉しい。そして近所には保育園、小学校、中学校、高校があり、小さな公園もあちらこちらにあって、緑が豊かで、これまた嬉しいことこの上ない。駅までの距離はいままでより遥かに遠くなってしまったけれど、景色を楽しみながら、お散歩気分で歩きたい。