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Monday, October 17

野菜の値段が高すぎて悲しい。会社帰りに立ち寄るスーパーでの立ち振る舞いが、どんどん『きのう何食べた?』のシロさんに近づきつつある。

Tuesday, October 18

著者が朝日新聞社の記者としてロンドンに赴任していた時代の書簡をまとめた外岡秀俊『傍観者からの手紙』(みすず書房)を読む。流麗な筆致による時候の挨拶に目を奪われる書物だけれど、再読となる今回は、本論として語られる内容を注視して読んだ。イラク戦争開戦直後の時局にあって、政治経済をめぐる著者の分析には異論を唱えたい箇所も少なからず存在するものの、このたび読み返してみて、本書は上質の読書案内として「使える」本だということに気づく。

Wednesday, October 19

近頃読書量が減退しているのは忙しくて時間がないという紋切り型の理由ではなく、夕餉が終わると途端に眠くなってしまう怠惰な事由に起因する。読書をめぐるアンケートなどでしばしば見かける多忙なので本が読めないとの回答はおおいに怪しく、時間がありあまって暇ならば本を読むのかといえば、必ずしもそうはならない。時間は必要だが時間があるからといって読めるものでもない。

Thursday, October 20

東急沿線情報誌『SALUS』に松陰神社前の古本屋「nostos books」が紹介されている。ここ最近の各種媒体における「nostos books」の紹介頻度は突出している。

Friday, October 21

プーチンの顔を加工したエコノミスト誌の表紙が怖すぎる。

Saturday, October 22

女性誌やらカルチャー誌やらにやや出すぎの感すらある平野紗季子のプロフィールがOLに変わった際、こんなあからさまに副業を認める勤務先はどこなのかと思ったものだが、博報堂に就職したのだと知って疑問は氷解する。その平野紗季子が方々で推薦している五反田の洋食屋「グリルエフ」で昼食。ハヤシライス、サラダ、赤ワイン。

目黒に移動して東京都庭園美術館で「クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち」を鑑賞。作品から受ける勝手な印象で、線の細い人物としてボルタンスキーのことを想像していたのだが、インタビュー映像を見たらジョージ・カックルみたいな相貌なのに少し驚く。

目黒駅からバスに乗ってBlitz Galleryへ。テリ・ワイフェンバックとウィリアム・ウィリーの写真展「As the Crow Flies」を見る。来年の春にIZU PHOTO MUSEUMでテリ・ワイフェンバックの展覧会が行われるとのこと。楽しみ。今回の写真展のカタログを買う。

学芸大学駅近辺を散策、CLASKA Gallery & Shop “DO”、SUNNYBOY BOOKS、サテライト、流浪堂をまわる。

新宿に移動して、コニカミノルタプラザで石井保子写真展「特急電車64号」を見る。ややもすれば「窃視者」の視線になりかねない危うさを回避する車窓からの眼差し。ところで、コニカミノルタプラザは来年の1月で運営を終了すると知る。来年以降、木村伊兵衛賞の展示はどこでやるのだろう。

Sunday, October 23

美味しい珈琲の飲める近所のカフェを見つける。珈琲を飲みながら池田潔『自由と規律 イギリスの学校生活』(岩波新書)を読む。