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Monday, July 4

ゲリラ豪雨はじめました。

ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(野矢茂樹/訳、岩波文庫)を読む。再読というか再々読というか再々々読というか再々々々読というか。ウィトゲンシュタインの蠱惑的とでも言いたくなるような記述の数々はアフォリズムのように引用したくなる誘惑に駆られるが、しかし『論考』を通して読んでみるならば断片を表層的になぞってみたところで詮ないことがわかる。

それにしても、『論考』という著作は妖しい光を放っている。読む者を射抜き、立ちすくませ、うっとりさせる力を擁している。それはおそらくすばらしいことなのではあろうが、危険でもある。うっとりしながら哲学することはできない。『論考』の真価は、冷静に、慎重に、熟練したメスさばきで示されねばならない。(訳者解説)

朝食、チーズトースト、目玉焼きとみつば、珈琲。昼食、弁当。夕食、そうめん、塩辛、冷奴とかいわれ、枝豆、麦酒。

夜、野又穫『Elements あちら、こちら、かけら』(青幻舎)を眺める。これまでに野又穫の絵画を実物で見た展覧会の記憶をたぐり寄せながら。2004年の「カンヴァスに立つ建築 Architecture on Canvas」(東京オペラシティアートギャラリー)と2013年の「空想の建築 ピラネージから野又穫へ」(町田市立国際版画美術館)のこと。

Tuesday, July 5

朝5時起床。早朝の読書は『Sarah Moon』(何必館・京都現代美術館)。

本棚にあるウィトゲンシュタイン関係をまとめて読もうと、岩波文庫の『論考』のつぎは黒田亘の編纂した『ウィトゲンシュタイン・セレクション』(平凡社ライブラリー)を紐解く。解説で野家啓一が、黒田亘のウィトゲンシュタイン研究について詳細を知るには黒田の著書(『経験と言語』『知識と行為』『行為と規範』)を参照するといいと書いているのだが、『行為と規範』は版元の勁草書房が絶版にしていないものの、あとの二冊は入手困難な状態なのでぜひ文庫化してほしいところ。と書きながらいま調べたら、今年の「書物復権」の企画で『経験と言語』と『知識と行為』は東京大学出版会が復刊させるらしい。しかし復刊されたところでまったく財布に優しくない学術書価格なので、やっぱり文庫化してほしい。

朝食、チーズトースト、目玉焼き、紫玉葱、かいわれ、珈琲。昼食、弁当。夕食、トマトとほうれん草のアンチョビパスタ、チーズ、バゲット、赤ワイン。

Sunday, July 10

引っ越しをすることになった。