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Monday, May 23

牛尾京美『ベイリィさんのみゆき画廊 銀座をみつめた50年』(みすず書房)を読み終える。銀座で「みゆき画廊」という貸画廊を営んでいた加賀谷澄江(通称ベイリィ)の物語。解説を芥川喜好が書いている。みゆき画廊で長年にわたりアシスタントを務めた著者による加賀谷澄江の姿は、資産家の娘らしい余裕が感じられて(画廊は父親が建てたビルの一角につくられた)、どことなく浮世離れした雰囲気が漂う。もし仮に画廊経営が駄目になっても最後の最後は私財を投じればなんとかなる余裕があって、この余裕から生まれた人柄が画廊の存在を魅力的なものにしただろうことは本書の筆致から窺える。もちろん余裕があるといってもお気楽な話が続くわけでなく、意欲のある画家に展示場所を貸してその賃料で運営する貸画廊という形態は日本独特のものらしいが、みゆき画廊が企画画廊ではなく貸画廊を選択したことへの矜持と逡巡が印象に残った。

夕食にカレーうどん。昨晩のカレーの残りにうどんを投入した代物に対して、これまで食したカレーうどんのなかで一番美味しいとの賛辞が贈られる。食後のデザートに鎌倉にあるatelier VANILLEのカラメルロールケーキを頬張る。

Tuesday, May 24

川口葉子『京都・大阪・神戸の喫茶店 珈琲三都物語』(実業之日本社)を読む。「喫茶写真家」という言ったもん勝ち感満載の川口葉子のプロフィールに毎度惚れ惚れする。

鱈としめじとほうれん草の白ワイン蒸しパスタ、バタール、赤ワイン、の晩ごはん。

Wednesday, May 25

池内敏『竹島 もうひとつの日韓関係史』(中公新書)を読了。竹島/独島が日本と韓国のどちらの領土なのかについて、精緻な文献史学の観点からすれば前近代史の論証は日本側の主張も韓国側の主張もほとんど価値をもたないとして退け、真の争点は「1905年の日本領編入をどのような歴史的事実としてきちんと評価するかにかかっている」と述べる終章のくだりはなかなか感動的なものがある。

夕食は、白米、しめじとわかめの味噌汁、かぶと大根の煮物、豚肉の醤油炒め、青梗菜のおひたし、蒸し馬鈴薯と人参、麦酒。

図書館への返却日が迫っていたヴォルフガング・シュトレーク『時間かせぎの資本主義 いつまで危機を先送りできるか』(鈴木直/訳、みすず書房)を慌てて読む。つぎからつぎへと迫り来る図書館の返却日に鍛えられる。

Thursday, May 26

会社の昼休みの時間は天気がよければオフィス周辺を軽く散歩しながら本を読んでいる。薪を背負わない浮かれた二宮金次郎である。そんな浮かれた二宮金次郎は粟津則雄『ピカソ 二十世紀美術断層』(生活の友社)と岡田温司『天使とは何か キューピッド、キリスト、悪魔』(中公新書)を読了した。

東京都美術館での若冲展の開催中はツイッターの検索窓に「若冲」と入力してその混雑ぶりに辟易するという所作に集中していたので、購入した図録に目をとおすのをすっかり忘れていた。喧騒の終わりを待ってようやく図録を紐解く。

Friday, May 27

エコノミスト誌をiPadで読む。先日年間購読の更新時期だというのでエコノミスト誌から封書の案内が届き、デジタル版だけではなく紙で読むのもいいかなあと一瞬迷ったのだが、今週号の表紙が金正恩の頭が核爆発しているもので、こんな趣味の悪い表紙の雑誌が物質として自宅にあるのは嫌だと思い直す。エコノミスト誌の表紙はイギリスの趣味の悪さを全力で発揮したような代物なので、毎号の表紙に対して趣味の悪さを採点した表をつくりたい。

晩ごはんは、鮭とほうれん草のパエリア、人参のサラダ、麦酒。

Saturday, May 28

合羽橋へ。どの店もおなじような商品が陳列されており何をどこで買うのが正解なのかよくわからないもののともかく歩いて楽しいかっぱ橋道具街で、アルミのフライパンと洋食器を買う。

早速買ったアルミのフライパンを使ってパスタをつくる。蛸とほうれん草のパスタ、鶏肉のマスタード白ワイン蒸し、トマトとベビーリーフのサラダ、バゲット、赤ワイン。夜はライブに出かけるので、昼夜兼用のごはん。

渋谷へ。Bunkamuraザ・ミュージアムに向かう。若冲展ほどではないものの結構な混雑ぶりの「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」展を見てから、渋谷クラブクアトロで吾妻光良&スウィンギングバッパーズのライブ。

Sunday, May 29

薔薇を見に行こうと旧古河庭園に向かうも見事は終了していた。移動販売車で売っていたソフトクリームが美味しい初夏のような陽気。

冷やし中華、蛸わさび、麦酒、の夕餉。冷やし中華はじまる。