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Monday, March 14

冷たい雨の降る月曜日。新宿の伊勢丹地下食料品売場に赴くと、ホワイトデーの影響で外套を着た男性がたくさんいるため、フロア全体がなんだか黒っぽい。黒っぽい雰囲気の中、noix de beurreで焼菓子を買う。

朝、ピザトースト、珈琲。昼、弁当。夜、無印良品のごろり牛肉のスパイシーカレー、グリーンリーフとしらすのサラダ、マッシュルームのガーリック炒め、麦酒。

Tuesday, March 15

佐々木敦の筆致は隙が多すぎて、その文章の精度の粗さが論旨の説得力を弱めているように思えてならない。しかし近刊の『ゴダール原論 映画・世界・ソニマージュ』(新潮社)は、近年のゴダール作品の解読のために、ゴダールのつくりだす音=映像と懸命に併走しようとするさまがよかった。

朝、バゲットとパテ、グリーンリーフ、珈琲。昼、弁当。夜、鶏肉うどん、キムチ、麦酒。

Wednesday, March 16

『新潮』4月号(新潮社)の巻頭を飾る蓮實重彦「伯爵夫人」を読むために、いつ以来なのかまったく記憶にないほど久しぶりに文芸誌を買う。22年ぶりらしい蓮實重彦の小説。単行本は新潮社から出るのだろうか。フランス書院からでもいいと思う。性表現の乱舞するその内容は、多少なりとも驚きと感心を喚起するものの、半分くらい読み進めたところで次第に飽きてくる。もっとも、このような事態は小説だからではなく批評においても同様で、はじめは刺激的で愉悦に浸りながら読むのに、蓮實重彦の文体にしばらく付き合っていると、だんだん疲労が蓄積し、やがて食傷に至る。つまるところ、蓮實重彦に関しておもしろがっているのは、エクリチュールではなく彼の存在自体なのかも。

朝、トースト、ブルーベリージャム、目玉焼き、グリーンリーフ、珈琲。昼、弁当。夜、豚肉とほうれん草のアンチョビパスタ、ツナと人参のサラダ、バゲット、赤ワイン。

Thursday, March 17

四方田犬彦『土地の精霊』(筑摩書房)を読む。ややスノビッシュな風体がなくはないが、著者の文学や映画に対する関心と世界各地の旅の記録とが絶妙に融合した良書。だと思うけれど、「土地の精霊」というもっさりとした書名は何とかならなかったのかな。

朝、ベーコンポテトドッグ、珈琲。昼、弁当。夜、白米、油揚げと長葱の味噌汁、きゅうりのピクルス、焼き魚(ほっけ)、ピーマンと油揚げとベーコンの胡麻油炒め、麦酒。

Friday, March 18

プーチン大統領をカリカチュアしたエコノミスト誌の表紙がきもい。エコノミスト誌の表紙の趣味の悪さは毎度のことで特段驚きはないけれど。

朝、トースト、ブルーベリージャム、目玉焼き、ほうれん草とミニトマト、珈琲。昼、弁当。夜、白米、小松菜と長葱の味噌汁、豚肉とキムチの炒めもの、しらすと山葵、長葱と生姜の冷奴、麦酒。

Saturday, March 19

久方ぶりのギャラリー遊弋。まずは銀座で「薬草の博物誌」「伊東豊雄展 空気をデザインする」「見附正康・西田健二の+α展 」(LIXILギャラリー)、「田幡浩一 one way or another」(ギャラリー小柳)、「ポーラ ミュージアム アネックス展2016 イメージと人体」(POLA MUSEUM ANNEX)、「コンデナスト社のファッション写真でみる100年」(CHANEL NEXUS HALL)、「第10回 shiseido art egg /in/visible_GABOMI.展」(資生堂ギャラリー)、「シャルル・フレジェ YÔKAÏNOSHIMA」(銀座メゾンエルメス フォーラム)を鑑賞。つづけて六本木にて「西村裕介 The Folk」(IMA gallery)、「津田直 Grassland Tears」(Taka Ishii Gallery Photography/Film)。Brasserie Va-toutでの赤ワイン休憩と青山ブックセンターでの雑誌立ち読みを挟んでから、最後は渋谷のヒカリエで「佐藤翠 Secret Garden」(8/ART GALLERY/TOMIO KOYAMA GALLERY)を見る。

夕食は、サルデーニャ料理の店Tharrosで。席に座ると隣はイタリア人男女で、その二人が食事を終えて、つづいて入ってきた男性二人組もまたイタリア人だった。日本人の店員はイタリア語で応対している。すごい。色々注文していたら、店の人に「前菜が多すぎませんか?」とやんわり助言される。店員に注文しすぎだと(やんわり)指摘されたのはこの店が初めてではない。そんなに食べそうに見えないのか、ただ食い過ぎなだけなのか。後者の可能性が高かろう。

朝、バゲット、ブルーベリージャム、珈琲。昼、バターチキンカレー、ベーコンとトマトとほうれん草のグリル、ミネラルウォーター。

Sunday, March 20

花粉が大量に飛んでいる。花粉症が公害認定される日を待望。花粉のせいで身体がだるく、本を開くとたちまちぼんやり眠くなる。

朝、トースト、ブルーベリージャム、ヨーグルト、珈琲。昼、鶏蕎麦、麦酒。夜、牛肉のステーキ、真鱈とほうれん草と紫玉葱のカルパッチョ、玉葱しめじのスープ、バゲット、赤ワイン。