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Wednesday, January 6

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督、2014年)を鑑賞。話題の長回しの効果はそれなりにあったような。少しいろいろ枝葉を作り過ぎでは。感情過多気味の演技にも辟易。何よりドラムのリズムでぐいぐい押していく、音楽がよかった。舞台袖でプロデューサーがiPhoneの着信音にあせって電話に出るところもよかった、“iPhoneの着信音が鳴って慌てて出るシーン”のベスト1は『ジゴロ・イン・ニューヨーク』のウディ・アレンだが、これがもしかしたら2番手かもしれない。就寝前、久しぶりにひどい頭痛。

Sunday, January 10

朝ごはん、胚芽ブレッド、ロースハムとトマトと玉ねぎのグリル、ヨーグルト、珈琲。支度をして出かける。お正月の鎌倉へ。ホームから改札口までがすでに、恐ろしいほどの混雑ぶり。どこの店も軒並み行列で、これは絶対に無理だろうと思ったミルクホールだったが、あっさり入れてしまった。オムライスと白ワインをいただく。初めて訪れたのが冬だったせいか、ミルクホールには冬が似合う。ぬくぬくのセーターを着て、ストーブの熱気を感じながら、ビールを飲みたいなあ、とよく夢想する。

神奈川県立近代美術館鎌倉に向かうも、予想をはるかに上回る行列で意気消沈。閉館時間間際をねらうことにして、川喜多映画記念館へ。「映画が恋した世界の文学」と原節子追悼展示を観る。

KIBIYA BAKERYでチョコパンとあんパンを買い食い。LONG TRACK FOODSを冷やかしてから由比ヶ浜へ。海まで歩くあいだに正面から刺すような強い太陽の光を受け続け、すっかり目をやられてしまい、海辺ではキラキラ光を反射する海面が眩しすぎて直視などできるわけがなく、涙を出さないようにするのに精一杯だった。いったん涙を流してしまうととまらなくなるので。目が弱いもので。御成通りを抜けて神奈川県立近代美術館鎌倉まで戻ってくる。さすがに空いていた。「鎌倉からはじまった。1951-2016 PART 3:1951-1965 「鎌倉近代美術館」誕生」を観る。中庭を取り囲む回廊式の建築とも、テラスからの眺めとも、テラスの天井に映る水の影ともこれでお別れだ。寂しいものだ。こんないい美術館が閉館だなんて。契約により、改修工事をしても今後は美術館としては使用できないらしい。歯がゆい。

夜はOsteria Comacinaで、フルーツトマトと水牛モッツァレラサラダ、タコとじゃがいもの温サラダ、ボッタルガのスパゲティ、ラムチョップのグリル、レモンクリームスパゲティ、ビール。赤ワインも1本あける。入店時に流れていた曲が吾妻光良 & The Swinging Boppersの「やっぱり肉を喰おう」だったものだから、わわっと、一気に楽しい気分になった。お気に入りの曲との不意の出会いはいつだって高揚する。お店を出て、夜の鶴岡八幡宮にお参りに行く。境内は、昼間の喧騒は何だったんだと言いたくなるような静寂に包まれていた。